原状回復の見積りで目立つのは、クロスや床材の単価です。ところが2026年に入ってから、現場を止めかねないのは主役ではないほうの材料になっています。
クロスの糊、床用の接着剤、巾木の接着剤、コーキング。いわゆる副資材です。
何が起きているか
内装材メーカー各社が、接着剤や副資材の受注停止・出荷制限・値上げを相次いで発表しています。2026年前半に報じられたものだけでも、次のような動きがありました。
- サンゲツ:アクリル系の床用接着剤が、5月11日受注分より一時受注停止
- 若井産業(セメダイン):4月20日より受注停止、5月18日に再開後は改定価格を適用
- 積水フーラー:4月15日出荷分より10%以上の価格改定
- アイカ工業:壁ボード用接着剤の一部が、4月30日発注分から供給制限
いずれも「モノが無い」というより、メーカーが出す量を絞っている状態です。
原因はナフサ
副資材の多くは石油化学製品です。原料をたどるとナフサ(原油を精製した石油化学の基礎原料)に行き着きます。接着剤の樹脂も、コーキングも、クロスの塩ビも同じです。
そのナフサが、2026年に入って急騰しました。日本経済新聞によれば、国産ナフサの2026年4〜6月期の価格は過去最高値を更新し、中東危機で約2倍になっています。
メーカー各社は値上げの理由として、そろって次の3つを挙げています。
- 原油・ナフサをはじめとする石油化学原料の指標の大幅上昇
- 中東情勢の緊迫化によるサプライチェーンの混乱
- 円安と物流コストの上昇
工事会社の努力で下げられる部分ではありません。
現場で何が起きるか
副資材が入らないと、工事そのものが止まります。クロスは糊がなければ貼れず、床材は接着剤がなければ張れません。しかも副資材は、見積書では「一式」に含まれてしまうことが多いので、外からは分かりにくい。
私たちが実務で気をつけているのは次の点です。
着工が決まった時点で材料を押さえる。 「工事の直前に手配」では間に合わない場面が出てきました。日程が決まった段階で、糊まで含めて確保しにかかります。
代替品を前提に段取りを組む。 同じメーカーの同じ品番にこだわると止まります。性能が同等の別品番・別メーカーで進められるよう、あらかじめ選択肢を持っておきます。
入らないと分かった時点で連絡する。 これが一番大事だと思っています。材料の遅れは、こちらが黙っていても解決しません。予定が動きそうな時点でお伝えして、日程を組み直すご相談をします。
管理会社様・オーナー様にお願いしたいこと
日程に余裕をいただけると、選べる手が増えます。
次の入居募集の期限が決まっている案件では、材料待ちがそのまま空室期間になります。逆に、着工日を1週間動かせるなら、入る材料に合わせて段取りを組み直せます。
ご相談の段階で「いつまでに引き渡したいか」を教えていただけると、そこから逆算して材料の手配を始められます。**急ぎだから受けない、ということはありません。**まずは状況をお聞かせください。
出典
- 取引価格改定に関するお知らせ|サンゲツ(2026年4月13日)
- 国産ナフサが最高値更新、4〜6月の価格確定 中東危機で2倍に|日本経済新聞
- 建材資材の値上げと受注停止の影響|テイガク(各社の受注停止・出荷制限の時期)
