第1回で「何を任せないかを先に決める」と書きました。そのうえで、では実際どれを使うかの話です。
先に、この記事の立場を書いておきます
この記事の下書きには Claude を使っています。
つまり、Claude に「Claude と ChatGPT と Gemini を比べて」と頼んで書かせた文章が混ざっている、ということです。公平に順位を付けられる立場ではありません。
なので、この記事では順位を付けません。「どれが一番賢いか」も書きません。書くのは、うちが実際にどう使い分けているかだけです。判断は読んだ方にお任せします。
なお、この記事に限らず、OSノートの記事の下にはAIがどこまで関わったかを書いてあります。
比較表を作らない理由
作ろうとして、やめました。理由は2つあります。
**すぐ古くなります。**この3社は数か月ごとに新しいものを出します。うちが確かめた時点の話を表にして載せると、読んだ方が古い情報で判断することになります。
**うちの使い方が、その方の使い方とは限りません。**うちは「長い文章を読む」「アプリを作る」に偏っています。図面を扱う会社、写真を大量に扱う会社では、答えが変わって当然です。
代わりに、自分の会社で確かめる手順を最後に書きます。そちらのほうが役に立つはずです。
うちの使い分け
順位ではなく、どういうときにどれを開くかです。
長い文章を読ませるとき
仕様書や契約書のように長くて、細部が大事なものを読ませるときは Claude を開いています。長い文章を最後まで扱えて、途中を取りこぼしにくいと感じています。
アプリを書くときも同じです。うちの業務アプリは、この形で作っています。
とりあえず聞いてみるとき
思いついたことをその場で聞くときは ChatGPT が多いです。使っている人が一番多いので、社内で「これ使って」と言いやすいのが実際の利点です。
これは性能の話ではなく、教える手間の話です。人に渡す道具は、周りに使っている人がいるかどうかで定着率が変わります。現場の道具と同じです。
Googleの中で作業しているとき
見積の表計算、Gmailで届いた長いやり取り、共有ドライブの資料。もともとGoogleの中にあるものを扱うときは Gemini を開きます。
ファイルをいちいち貼り直さなくて済むのが大きいです。性能差より、置き場所のほうが効いてくる場面だと思っています。
新しく出てきたもの
新しいAIは次々に出てきます。試すこと自体は良いことだと思っています。
ただ、乗り換えのコストは料金ではありません。「どう頼めば思いどおりに動くか」を覚え直す時間です。ここが一番高くつきます。
だから、うちは新しいものが出たら試すが、本番の仕事は簡単には移さないという決め方をしています。工具を替えるときと同じで、慣れた道具の速さは馬鹿になりません。
よく聞かれること
「無料のままではだめですか」
試すあいだは十分だと思います。ただし会社の情報を入れるなら別です。個人向けの無料・有料プランと、会社向けのプランでは、入れた情報の扱いが変わります。ここは第3回にまとめて書きます。
「日本語は苦手ではないですか」
いま主要なものはどれも日本語で普通にやり取りできます。それより差が出るのは、業界の言葉です。
「原状回復」「負担区分」「スケルトン」「ボード下地」。このあたりは、そのまま使うと一般的な意味で受け取られることがあります。最初に前提を書いてから頼むと、精度が変わります。
例えばこう書きます。
あなたは日本の賃貸物件の原状回復を扱う工事会社の担当者です。 「原状回復」は、退去後の部屋を次の入居者に貸せる状態に戻す工事を指します。 以下のメールを読んで、当社が負担することになっている項目だけ箇条書きにしてください。
これは工事の指示書と同じです。前提を書かずに「よろしく」と渡せば、思っていたものとは違うものが出てきます。
「1つに絞ったほうがいいですか」
会社として使うなら、まずは1つに絞ることをおすすめします。
複数あると、「どれで聞いたか分からない」「あちらでは通った頼み方がこちらでは通らない」が起きます。人数の少ない会社ほど、覚えることを増やさないほうが定着します。
うちが複数を使い分けているのは、開発でも使っているからで、普通の事務仕事だけなら1つで足ります。
自分の会社で確かめる手順
比較記事を読むより、これをやったほうが早いと思います。
1. 自社の実物を1つ用意する
管理会社様から実際に届いた長いメール、または自社の仕様書を1つ選びます。個人名・物件名・住所は伏せてください。
2. 同じ頼みごとを、候補ぜんぶに投げる
「この文書で、当社が負担することになっている項目だけ箇条書きにしてください」のように、答え合わせができる頼み方にします。感想を聞いても比べられません。
3. 原文と照らして、間違いを数える
見落とし、勝手な付け足し、意味の取り違え。**数えれば順位は自然に出ます。**しかもそれは、他人の順位ではなく自社の順位です。
4. 1週間、実務で使う
賢さより、開く気になるかどうかで決まります。使わなくなったものは、どれだけ賢くても意味がありません。
次回は、いちばん大事な話です。入れた情報がどう扱われるかと、料金の形について書きます。
この連載
- どれを使うかより、何を任せないかを先に決める
- Claude・ChatGPT・Gemini を仕事で使い分ける(この記事)
- 情報の扱いと料金 ― 契約する前に見るところ
