連載の最後です。ここがいちばん大事だと思っています。
賢さの比較は3か月で古くなりますが、お客様の情報を外に出してしまったことは、取り消せません。
個人向けと会社向けでは、扱いが違います
入れた文章がAIの学習に使われるかどうかは、プランによって変わります。各社が公式に書いている内容を確認しました(2026年8月16日時点)。
| 学習に使われるか | |
|---|---|
| ChatGPT(会社向け:Business / Enterprise / API) | 「既定ではお客様のビジネスデータをモデルの学習に使いません」と明記 |
| ChatGPT(個人向け:Free / Go / Plus / Pro) | 学習に使われる。オプトアウト(使わせない設定)が用意されている |
| Claude(Team / Enterprise) | 「既定ではお客様のコンテンツでモデルを学習しません」と明記 |
| Claude(Free / Pro / Max) | オプトアウトが用意されている |
| Gemini(Google Workspace) | 「許可なく、お客様のコンテンツを組織の外でのモデル学習に使いません」「人によるレビューもされません」と明記 |
出典は記事の最後にまとめました。
ここから読み取れること
3社に共通しているのは、会社向けのプランでは「既定で学習に使わない」と書いてあることです。逆に言えば、個人向けのプランは設定を変えないかぎりそうではない、ということでもあります。
なので、判断はわりと単純だと思っています。
会社の情報を入れるなら、会社向けの契約にする。
月に何千円かの差です。お客様の物件情報を扱う会社にとって、そこは削るところではないと考えました。
ただし、契約だけに頼らないほうがいい
会社向けの契約にしたからといって、何を入れてもいいわけではありません。
- 設定は変えられます。誰かが変えてしまうかもしれません
- プランは途中で変わります。個人契約のまま使い続ける人が出ます
- 会社の情報は、そもそも入れなければ漏れません
だからうちでは、契約とは別に社内のルールを決めています。
うちの社内ルール
難しいことは書いていません。4つだけです。
1. 物件名・住所・お客様のお名前は入れない
「〇〇マンション302号室」ではなく「ある賃貸マンションの1室」と書いて聞きます。AIに答えさせるのに、その情報はたいてい要りません。
2. 図面と契約書は、そのまま上げない
必要な部分だけを文字にして貼ります。手間はかかりますが、何を渡したかが自分で分かっている状態を保てます。
3. 会社で使うものは、会社の契約で
個人のアカウントで会社の仕事をしない、ということです。辞めた人のアカウントの中に会社の情報が残るのを避けるためでもあります。
4. 出てきたものは、必ず人が確認する
このOSノートの記事にも「AIが下書きし、担当者が確認した」と書いてあります。確認を省くなら、そもそも出さないほうがましです。
このルールは、**大企業のように立派なものではありません。**人数の少ない会社が、覚えていられる範囲で決めたものです。それでも、無いよりはずっとましだと思っています。
料金の形は3つ
金額は書きません。この記事を読む時点で、たぶん変わっているからです。(同じ理由で、うちも工事の料金表を載せていません。)
代わりに、形を書いておきます。ここは当分変わりません。
1. 個人向けの月額 1人ぶんの定額。試すときはここから。会社の情報を入れるなら、これで止めないこと。
2. 人数ぶんの月額 使う人の数だけ払う形。管理する画面が付いてきて、既定で学習に使わないのはたいていここからです。最低人数が決まっていることがあります(例えばClaudeのTeamは2人から)。
3. 使った分だけ(API) 自社のアプリに組み込むときの形。使わなければ0円ですが、上限を決めておかないと青天井になり得ます。うちの業務アプリはこの形で使っていて、使いすぎを止める仕組みを先に入れました。
見落としがちな費用
料金表に出てこないものが2つあります。
**覚える時間。**人に渡して定着するまでの時間は、月額よりずっと高くつきます。
乗り換える時間。「どう頼めば思いどおりに動くか」を覚え直す時間です。第2回にも書きましたが、これが一番大きいと思っています。
契約する前に見るところ(まとめ)
同業の方に聞かれたら、この順番でお話ししています。
- **何をさせるか決めたか。**決まっていないなら、まだ契約しなくていい(第1回)
- **会社の情報を入れるか。**入れるなら会社向けのプラン一択
- **自社の実物で試したか。**比較記事ではなく、自社の書類で(第2回)
- **入れないものを決めたか。**契約より先に、社内の習慣
- **確認する人を決めたか。**出てきたものをそのまま出さない
**1と4は、契約する前に決められます。**そしてこの2つを飛ばした導入は、だいたいうまくいかないというのが、いまのところの実感です。
最後に
うちは、この連載で名前を挙げた会社のどこからも、何ももらっていません。順位も付けていません。
書いたのは、同じくらいの規模の工事会社が、同じところで迷うだろうと思ったからです。判断の材料になれば十分です。
もし「うちはこう決めた」という話があれば、下の欄からお送りください。耳の痛い指摘ほど、載せる価値があります。
出典(いずれも2026年8月16日に確認)
- OpenAI ― Enterprise privacy:「既定ではお客様のビジネスデータをモデルの学習に使用しません」
- Anthropic ― Claude の料金プラン:Team/Enterprise は「既定でお客様のコンテンツによるモデル学習を行わない」
- Google Workspace ― 生成AIのプライバシー:「お客様のコンテンツは、許可なく組織外での生成AIモデルの学習に使われず、人によるレビューもされません」
料金も方針も変わります。契約の前に、必ず各社の公式ページでご確認ください。
この連載
- どれを使うかより、何を任せないかを先に決める
- Claude・ChatGPT・Gemini を仕事で使い分ける
- 入れた情報はどう扱われるか ― 契約する前に見るところ(この記事)
