「また値上げですか」と言われることが増えました。
2022年から数えて、内装材はもう何度目か分からないほど価格が動いています。ニュースでは円安、原油高、中東情勢といった言葉が並びますが、現場から見ると効いている順番が違って見えます。
ここから先は当社の見立てです。予測ではなく、現場で見えている範囲からの解釈として読んでください。
1. 一番効いているのは「原料そのもの」
内装材の値上げの説明を並べると、各社ほぼ同じ言葉が出てきます。原油・ナフサです。
ナフサは原油を精製してできる石油化学の基礎原料で、ここから塩ビも、接着剤の樹脂も、塗料も作られます。内装材はほぼ全部が石油化学製品だと言っていい。
そのナフサが、2026年に入って急騰しました。日本経済新聞によれば、国産ナフサの4〜6月期の価格は過去最高値を更新し、中東危機で約2倍になっています。
材料の材料が2倍になれば、製品が2〜3割上がるのは、むしろ抑えているほうだと思います。
2. 次に効くのが「量が出ない」
見落とされがちなのがこちらです。
値上げのニュースと同時に、各社から受注停止・出荷制限の発表が続きました。接着剤、スペーサー、樹脂枠。「高いけれど買える」ではなく「そもそも出ない」状態が、部分的に発生しています。
量が出ないと、メーカーは工場を効率よく回せません。**1個あたりのコストが上がり、それがまた価格に乗ります。**値上げが値上げを呼ぶ形です。
現場側から見ると、価格よりこちらのほうが痛い。金額は見積りに書けますが、入らない材料は書けないからです。
3. 円安は「増幅装置」
円安は原因というより、上がり幅を大きくする装置だと見ています。
原料をドルで買っている以上、同じ量を買うのに必要な円が増えます。ナフサが2倍になったところに円安が乗ると、国内の調達コストはそれ以上に膨らみます。
逆に言えば、円高に振れれば緩む部分でもあります。原料価格そのものより、戻りは早いはずです。
4. 人件費と物流費は、下がらない
もうひとつ、静かに効いているのがこれです。
トラックドライバーの時間外規制、建設業の働き方改革、最低賃金の引き上げ。いずれも2024年以降に段階的に進んできたもので、運賃と人件費は構造的に上がっています。
原料は相場なので下がることがありますが、**人件費は一度上がったら下がりません。**ここが2022年からの値上げと今回の違いだと考えています。
で、いつ落ち着くのか
正直に書きます。分かりません。
そのうえで、当社としては次のように見ています。
原料由来の部分は、中東情勢と原油相場が落ち着けば下がる可能性があります。ただし、メーカーの価格改定は上がるときほど速く下がりません。値上げは即時、値下げは緩やかというのが過去の動き方です。
供給の目詰まりは、原料が入るようになれば比較的早く解消するはずです。実際、受注停止から1か月ほどで再開した例もあります(ただし再開後は改定価格でした)。
人件費・物流費は、戻らないと考えています。ここは前提が変わったと見るべきだと思います。
つまり、元の値段には戻らないが、今が天井に近いというのが当社の見立てです。外れるかもしれません。
私たちが決めたこと
こういう時期に、業者が取れる態度は2つあります。
ひとつは、先に高めに見積もっておくこと。上がっても損はしません。ただ、上がらなかったぶんは黙って利益になります。
もうひとつは、その時点の価格で出して、動いたら開示すること。手間はかかりますが、お客様から見て何が起きているか分かります。
当社は後者にしました。見積りの有効期限をはっきり書き、改定をまたぐ場合は理由を添えて出し直します。「材料が上がったので」の一言で済ませず、どのメーカーの何が何%上がったかまでお伝えします。
値上げそのものは止められません。**せめて、理由の分かる値上げにする。**そこは私たちの側でできることだと思っています。
出典
- 取引価格改定に関するお知らせ|サンゲツ(2026年4月13日)
- お取引価格改定のお知らせ|東リ(2026年4月6日)
- 国産ナフサが最高値更新、4〜6月の価格確定 中東危機で2倍に|日本経済新聞
- 建材資材の値上げと受注停止の影響|テイガク
